グレンチェックがプリンス・オブ・ウエールズと呼ばれるのは何故か?
イギリス王エドワード8世にちなんで命名された生地の名称。彼の祖父エドワード7世があみだした生地の製法で、ダンデイであったエドワードはこの生地で仕立てたスーツをよく身に着けていたことから、そう呼ばれるようになった。
エドワードは、グレートブリテン王国成立以降のイギリス国王としては歴代最短の在任期間わずか325日で退位した 。彼は、離婚歴のある平民のアメリカ人女性ウオリス・シンプソンと結婚するために 王位より恋を選んであったのだ。
もともとプリンス・オブ・ウェールズの称号は、グヴィネス地方のウェールズ人支配者(公)、ルウェリン・アプ・グリフィズがウェールズのほぼ全域のウェールズ人諸侯に支配力を及ぼして、全ウェールズの君主としてプリンス・オブ・ウェールズの称号を名乗ったことに始まる。この場合のプリンスは王子の意味ではなく、君主、すなわち「公」あるいは「大公」と訳される地位のことである。その後、エドワード1世が自身の長男(エドワード2世)へ、そしてエドワード3世、エドワード3世が長男で第一王位継承者のエドワード(黒太子)にプリンス・オブ・ウェールズの称号を与え、プリンス・オブ・ウェールズはその長男の次期国王リチャード(2世)に譲られた。こうしてイングランドの次期国王がプリンス・オブ・ウェールズとなる慣例が定着し、現在に至る。 ちなみに、現在のプリンス・オブ・ウェールズは、エドワード8世の弟のイギリス王ジョージ6世の孫チャールズである。
今日の主人公であるエドワード8世は、革新的な服の着こなしを好む人物だった。1930年代に、ショール襟のダブルスーツをデイナージャケットと定め、黒ではなく紺色のスモーキングを提案した。彼によると、照明の下では、紺色の方が黒本来の色よりより黒く映るからだそうだ。また、スモーキングの為の折り返し襟、ダブルカフスの袖のシャツを考案。
王位継承以前、彼は旅行先でグレーの縦縞ダブルスーツを好んで着ていた。これも後には、大流行した。紺色のスーツにスエードの茶色の靴を合わせられるのも彼のお陰だ。彼の組み合わせのセンスも目を見張るところ。2色使いの靴に縞模様の靴下、シアサッカーのズボンにチェックのシャツ、マドラスチェックのズボンにアーガイル柄の靴下といったように当時では考えられないマッチングである。
彼の着こなし方は家族にも奇抜に映ったようだが、確かなことは、彼の斬新な着こなし術は、今日のメンズファッションに大きな影響を与えていると言うことだ。
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