ナポリ仕立てのスーツ

 南の男が着こなすスーツの秘密。余計なものを剥ぎ取り自然なフィット感を追求した軽さと着心地のよさが特徴のナポリ仕立てのスーツ。現在も変わらず受け継がれているいくつかの特色を見てみよう。

袖: 袖といっても肩の部分。マニカ・ア・カミーチャといって、仕立ての時点で身頃の袖ぐりより袖山を10cmほど大きく裁断し、縫い合わせたときに袖の付け根にややギャザーが入る。そうすることによって、余裕を持たせ身体が動きやすくなる。

南の男はジェスチャーをしながら話すので動きやすいようにこのような工夫をしたとも言われている。シャツの袖をみせるため袖丈もやや短めにしてあり、結果動きやすくしている。あくまでも、カジュアルスーツ(コットンまたは麻)に限った話。

袖ボタン: 飾りボタンではなく開け閉めできる本切羽。ボタン同士がキスしているように重なり合っている。(重ねボタン)

下襟(ラペル): 広めで最低でも10cmはある。ラペルの先は a lancia(矢)と呼ばれ、先を尖らせてあるものが主流。

裏地: カジュアルスーツにおいては、mezza foderaといって身頃の上半分にのみ裏地をつけ、仕立て屋の細かい仕事がみえるようにしてある。袖にも裏地をつけない。また、そうすることにより、二枚目の皮膚のようにスーツが身体に馴染む。

胸ポケット: ポケットの底が船底(バルカ)のようなカーブを描く胸ポケットが特徴的。

ボタン: 最近は三つボタンが流行。1番上のボタンはリバースの後ろに隠れている。真ん中のボタンのみ閉める。

ポケット: カジュアルスーツには、丸みを帯びたポケットが上から縫い付けてある。

ステッチ: カジュアルスーツは内側も外側もステッチを2重にしてある。

サイドベンツ: ベント、つまりジャケットの後ろの裾に付いている切れ込み部分のこと。スーツ発祥の地であるイギリスで、当時の兵隊が馬に乗る際に裾が突っ張ったり巻き込まれたりと乗馬の邪魔にならないようにと考えられたもの。ナポリ仕立てのスーツには、左右に切れ込みが入っているサイドベンツを深めに入れ、28~30cmにおよぶこともある。

 柔らかな仕立てで、華やかさのあるナポリスタイル。乾燥した地中海気候であるが夏はそれなりに暑い。それでもスーツをお洒落に着こなす伊達男たちから学ぶことは多い。


ややギャザーが入った袖

リバースの後ろに隠れたボタン

イタリアの伊達男を探して・・・

イタリアの男子はなぜそんなにお洒落なのだろう・・・ 過去に遡り深く追求していきたい。

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